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空が暗くなり始めた頃、携帯が着信をつげた。
相手は相沢だ。すぐに電話を取ると、
「ハロ~」
と陽気だ。
「なんだよ」
相沢は優と二人で花火大会に来ていると話した後、亜紀に会ったと言った。
「浴衣姿かわいかったなぁ~。シンちゃん見れなくて残念だねぇ~」
なんかムカつく。そう思いながら、相沢の話しを聞いていた。
「相沢……俺を怒らせたいわけ?」
「えっ? シンちゃん怒ってるの?」
「切るぞ」
「いやっ切らな『プチっ』
シンは電話を切ってやった。相沢が楽しんでいる事くらい分かっていた。
すると相沢からすぐにメールがきた。
「焼きもち屋さん」
と。
「アイツぶっ飛ばす」
ボソッと呟きメールを打つ。相沢にではなく亜紀にだ。浴衣で行くとは聞いていなかった……自分より先に相沢に見られたと思うと本当にムカつく。
「写メ送って。浴衣姿みてみたい」
そうメールをすると返事はすぐに返ってきた。
「あとでちゃんと送ります」
と、いつ送られてくるのか、早く見てみたかった。
なんだか自分だけ仲間外れにされたような気分だ。相沢に優、亜紀は同じ花火大会。自分だけひとり家にいて……。
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