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亜紀に会ったら、自分はどうなってしまうんだろうと、急に不安になった。
写真だけでもこんなに愛しいのに、実物はその数倍愛しくなるだろう。
それに、理性が保てるか?
その前に亜紀の父親との約束……。
自信を持って約束を守ると言えないし、理性を保てる自信もない。
それが今の自分。
亜紀の前ではかっこつけて何でもないふりをしているが、やはり内心穏やかではない。
焦り、不安、嫉妬。色んな物が混ざりあう。
そんな事を考えていると、携帯が着信を伝える。どれくらい考えていたのか、電話に出るともう亜紀は寝る準備が終わったと言っていた。
「写メありがとうな」
恥ずかしそうに話す亜紀にそう言うと、
「先生の写メもちょうだいよ……」
と小さな声で呟く。小さな声も全部、ひとつのこらず拾いたいと思うのは、君からでた言葉だからだろうか。
「お互い待ち受けにするか?」
そう言った途端に虚しくなる胸は、何故?
出来ない事なんて最初から分かっているのに、何故かそれにショックをうけている自分に気付く。
その後他愛もない話しをして電話を切ったが残ったのは、どこにもぶつける事の出来ない寂しさ。
彼女もこんな想いをしているんだろうか……。
亜紀に写メを送ると約束していたため、カメラを自分に向けた。ピースを作り笑うが、うまく笑えているだろうか。
亜紀との明るい未来を考える事で、暗い気持ちを吹き飛ばす。
あぁ……君のためだけに笑っていたい。
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