*…朧…* #2

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 亜紀の声は、最初に比べとても明るくなっていた。 「私は、先生ともう一回あの夜景を見にいきたいなぁ~」  嬉しそうに話す顔が想像できるのは、ゾッコンだからだろうか。 「あと、遊園地いって観覧車乗りたい」 「良かった。元気になってるみたいで」 「へへっ」  あの時確かに心が温かかった。 「なんかいい事あった?」  桜井に声をかけられて現実に引き戻された。すっかり自分の世界に入っていた事を、周りの景色が変わっている事で気が付いた。 「いや、なんで?」 「なんか幸せそうな顔してたから」 「そうか?」 「あぁ、さては彼女とモトサヤか?」 「そんなとこ」  でも、距離と時間というものは時に残酷である。  繋ぎとめたと思ったものさえも、少しずつゆるくしていく……。  会えない時間が想いを募らせ、大きな反動を生む事を、この時の2人は考えてもいなかった。  毎日のメールや電話じゃ物足りなくなってしまう……。  嬉しさや楽しさがあれば、逆に寂しさも倍返しだという事を。
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