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それからシンは引っ越し作業を手伝わされ、2時間後。
「つっかれた!」
そう二人掛けのソファにドカッと体を倒し、俯せのまま動かない。
「可哀相に……シンも不運だよね」
優も手伝いにきていて、捲っていた袖を直している。
「おぉ~感謝感謝」
と相沢は頭にまいていたタオルを取ると、それで首の汗を拭っていた。
「腹減った……」
ソファに倒れたまま呟くシンの声を聞いて、相沢が寿司を出前でとってくれた。
「さぁジャンジャン食えよ。今日は俺の奢りだからな!」
30分程で届いた寿司をあけ、相沢が満面の笑みですすめてくる。
「手伝ったんだからこれくらい当たり前だ」
と言うシンに、
「あらっ疲れちゃって不機嫌? 俺なんてまだピンピンなんですけどぉ~」
そう笑っている。優は黙って寿司に箸を伸ばしていた。
シンは相沢を睨み付けて寿司を頬張る。
「うまっ」
「だろ!」
こうしてこの日の夜は更けていった。
――翌朝。
相沢の家からホテルに戻ってきたシンは、お風呂に入るとすぐに眠ってしまっていた。
「ふぁ~もう朝か……」
欠伸をしながら背伸びをする。
「い゛っ!」
その時、腰に痛みが走った。「やばっ……」
腰をさすりながらベッドから出る、昨日の引っ越しの手伝いが原因なのは明らかだった。
なんせ何度も相沢に箪笥やら棚やらを運ばされたからだ。
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