*…朧…* #2

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 それからシンは引っ越し作業を手伝わされ、2時間後。 「つっかれた!」  そう二人掛けのソファにドカッと体を倒し、俯せのまま動かない。 「可哀相に……シンも不運だよね」  優も手伝いにきていて、捲っていた袖を直している。 「おぉ~感謝感謝」  と相沢は頭にまいていたタオルを取ると、それで首の汗を拭っていた。 「腹減った……」  ソファに倒れたまま呟くシンの声を聞いて、相沢が寿司を出前でとってくれた。 「さぁジャンジャン食えよ。今日は俺の奢りだからな!」  30分程で届いた寿司をあけ、相沢が満面の笑みですすめてくる。 「手伝ったんだからこれくらい当たり前だ」  と言うシンに、 「あらっ疲れちゃって不機嫌? 俺なんてまだピンピンなんですけどぉ~」  そう笑っている。優は黙って寿司に箸を伸ばしていた。  シンは相沢を睨み付けて寿司を頬張る。 「うまっ」 「だろ!」  こうしてこの日の夜は更けていった。 ――翌朝。  相沢の家からホテルに戻ってきたシンは、お風呂に入るとすぐに眠ってしまっていた。 「ふぁ~もう朝か……」  欠伸をしながら背伸びをする。 「い゛っ!」  その時、腰に痛みが走った。「やばっ……」  腰をさすりながらベッドから出る、昨日の引っ越しの手伝いが原因なのは明らかだった。  なんせ何度も相沢に箪笥やら棚やらを運ばされたからだ。
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