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それから職員室へ行き、挨拶を済ませた。
その後は他に何もやることはなく、体育館に皆も待たせている訳で戻る事に、相沢はもう少しいたらと言っていたが職員室を出た。
体育館へと足を進める……その時。
今一番会いたい人を見つけた。シンに気付いていない彼女は携帯を見ながら階段を降りてきた。
(亜紀……)
まだ気付かない。
「亜紀、久し振り」
そう声をかけると、亜紀は一瞬にしてピタッと止まり顔をあげた。
2メートル程の距離、今すぐにでも駆け寄って抱き締めたい。
「せんせぇ……」
目を見開いてビックリしている。そして次の瞬間、その瞳から勢いよく涙が流れだした。
(亜紀……)
側に行こうとしたが、亜紀は走っていってしまった。
そのすぐ後、数名の生徒がさっき亜紀がいた場所を通り過ぎる。
「あれ? 細川先生!!」
「あっ本当だぁ、なんでいるの!?」
亜紀はきっと関係がバレかねないと、走って行ってしまったんだろう……そうシンは思った。
「おぉ、皆元気か?」
シンもこの場をやり過ごす。
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