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人の心は複雑だ。だからむやみに足を踏み入れてはいけない。
「細川先生は桜井くんと仲が良いですな」
職員室に戻ってくるなり、年配教師にそういわれ。
「そうですかね?」
笑って返す。確かに友達のように仲が良いのはシンだけだろう。
他の教師たちは仕事上、上司と部下という関係では仲が良い。歳の関係もあると思うが。
シンは次の授業の準備をしてから、亜紀にメールを送った『昼食はとったのか』と、ただそれだけ。でも繋がっているんだと胸が温かくなる。
亜紀は最近進路もちゃんと決まったようで、近々学校見学に行くと行っていた。
その学校見学を引率するのは相沢らしく、相沢からそれを聞いた時は「なんで相沢?」と内心思っていた。
しかも2人で行くという、いい気がしないのは嫉妬心からだ。
『ご飯食べましたよ。今は屋上でボケッとしてます。
先生はたべた? 一緒にたべたいね』
返ってきた返事に、すぐに相沢の事は忘れにやけていた。本当に自分は単純だ。
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