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それから時間は過ぎていき放課後。何故かシンは化学室の戸締まりを任された。
ただ単に化学教師に用事が出来、たまたま近くにいたのが、シンだったというだけだ。
「なんで俺が……」
いきなりの頼みで、ホテルにも生徒と戻らないといけないため断ろうとしたが、一緒に来ていた沖縄の教師の一人が、先に帰っているからゆっくりしてきなさい。と言ってくれ、仕方なく化学室を閉める事に、そしてそのあと相沢たちとドライブをする事になった。
あまり気が進まないまま、化学室の窓の鍵を確かめ、黒いカーテンを閉めていく。隣の準備室から出る予定のため、化学室の入口を閉めようとした時、ほんの10センチの隙間から亜紀が階段を上がっていこうとしているのを見つけた、彼女は一人だ。
「亜紀……」
気づいてくれるかと、ちいさな声で呼んだ。今なら二人きりになれる、そう思っての行動。誰にも気づかれずに、亜紀が化学室に入ってきてくれたら、見つかる確率も低いし安心だ。
彼女は辺り見渡しているが、シンに気づいていない。でも、これ以上扉を開くと誰かに見つかってしまう様な気がした。
気づかずまた階段を上がろうと足を進めようとしたから。
「亜紀」
と呼ぶ。どうにか気づいてくれないかと、亜紀を見ているとこっちに気付いた、すぐに手招きをする。
亜紀は周りを気にしながら、静かに化学室に入ってきた。
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