*…朧…* #3

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「……」  一気に地獄に突き落とされた気分だった。  優にトキメイタ……相沢に頼った。他の男の名前が出てきて、嫌な気持ちにならない男はこの世にいないだろう。  モヤモヤと濁っていく心に、彼女はナイフを刺したいのか、 「私……わたし……」 「もう何もいわなくていいから」  もう、何も聞きたくなかった。きっといい事ではないだろう、そんなのすぐに分かる。  何故、彼女は今それを言う必要があったのか、罪悪感を感じているのか、それとも自分の気持ちがわからなくなったのだろうか。  沈黙が流れて、重い空気が二人を包む。  シンは亜紀から視線をそらし、ぼうっと暗闇を見つめた。  どうしたら良い、何を言えばいい。彼女の気持ちが分からない、会いたかった、そう言った彼女の言葉は本物?  弟の優にトキメイタ……嫉妬、冷静でいられなくなる。 「なぁ亜紀……俺達、最初から無理だったのかもな」  冷たい言葉。泣きだす亜紀。 「もう、俺の事……忘れたら?」  君の気持ちが分からない。自分のものだと思っていた君の気持ちが……。 「やだ!!」  首を横にふる。 「やだよ……や……だ……」  うつむき泣く声が耳に虚しく響いた。
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