*…朧…* #3

18/35
前へ
/35ページ
次へ
「なん……で、私の事、怒っていいんだよ。嫌いになっていいんだよ。私、先生を裏切ったんだよ」  怒っていない訳じゃない。嫌いになれないだけ、 「優に俺を重ねたんだろ? 優の中に俺を探すほど……寂しかったんじゃないのか?」 「分かんないの……先生が好きなのに、他の人の中に先生を探す自分が……似てるっていうだけで、変な気持ちになった自分が……わかんな……いの……」  両手で顔を覆い、泣く亜紀にかけてあげられる言葉は。 「亜紀……ごめんな」  それだけだった。結局寂しい思いをさせてるのは自分で、亜紀だけを責めるなんて出来ない。  亜紀の手をゆっくり顔からはなした。 「なぁ、亜紀キスして」  何もなかった事に出来たらいいのに。 「だ……めだよ。私、先生の事きず……つけたのに」  亜紀の頬に触れて……シンは優しく口付けをした。  何もかも忘れてしまえばいい……誰の事も考えられなくなればいい。君は寂しかっただけだから。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加