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「なん……で、私の事、怒っていいんだよ。嫌いになっていいんだよ。私、先生を裏切ったんだよ」
怒っていない訳じゃない。嫌いになれないだけ、
「優に俺を重ねたんだろ? 優の中に俺を探すほど……寂しかったんじゃないのか?」
「分かんないの……先生が好きなのに、他の人の中に先生を探す自分が……似てるっていうだけで、変な気持ちになった自分が……わかんな……いの……」
両手で顔を覆い、泣く亜紀にかけてあげられる言葉は。
「亜紀……ごめんな」
それだけだった。結局寂しい思いをさせてるのは自分で、亜紀だけを責めるなんて出来ない。
亜紀の手をゆっくり顔からはなした。
「なぁ、亜紀キスして」
何もなかった事に出来たらいいのに。
「だ……めだよ。私、先生の事きず……つけたのに」
亜紀の頬に触れて……シンは優しく口付けをした。
何もかも忘れてしまえばいい……誰の事も考えられなくなればいい。君は寂しかっただけだから。
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