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このまま彼女を抱いてしまえば。
ゆっくり離した唇、亜紀は息をあげて胸に寄り掛かった。
体に力がなく、身を預けてくる、シンは優しく抱き締めて頭を何度もなでた。
「大丈夫か?」
コクリと頷く亜紀に、
「寂しい思いばかりさせてごめんな」
そうささやく。
「せんせぇ……ごめんなさい」
「私、まだまだ子供だよね」
そんな事をいう亜紀のおでこに軽くキスをすると。
「俺の前では、大人の女だな……」
とシンはボソッと言った。
「俺を誘惑するし、まだ子供っぽいとこもあるけど、それが亜紀だろ?
俺はそんな亜紀が好きなんだから、それでいいんだよ」
本当にこのまま抱いてしまいたい。余裕があるふりをしていた、本当はいっぱいいっぱいなのに、
「せんせぇ……大好き……」
ドクンと胸が鳴る。そして亜紀からのいきなりのキスに、本当に抱いてしまおうかと思った。
君が誘惑したんだ……。
だが「ダメだ頭を冷やせ」という気持ちが、それを阻止した。 彼女をもっと大切にしたい……そう思いとどまる。
まだ彼女には、これ以上の事をしてはいけない。
そう、まだ教師と生徒だから。忘れてしまう所だった。
と言っても、教師と生徒だなんて、こんな関係になった以上今更かもしれないが……。
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