*…朧…* #3

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 このまま彼女を抱いてしまえば。  ゆっくり離した唇、亜紀は息をあげて胸に寄り掛かった。  体に力がなく、身を預けてくる、シンは優しく抱き締めて頭を何度もなでた。 「大丈夫か?」  コクリと頷く亜紀に、 「寂しい思いばかりさせてごめんな」  そうささやく。 「せんせぇ……ごめんなさい」   「私、まだまだ子供だよね」  そんな事をいう亜紀のおでこに軽くキスをすると。 「俺の前では、大人の女だな……」  とシンはボソッと言った。 「俺を誘惑するし、まだ子供っぽいとこもあるけど、それが亜紀だろ?  俺はそんな亜紀が好きなんだから、それでいいんだよ」  本当にこのまま抱いてしまいたい。余裕があるふりをしていた、本当はいっぱいいっぱいなのに、 「せんせぇ……大好き……」  ドクンと胸が鳴る。そして亜紀からのいきなりのキスに、本当に抱いてしまおうかと思った。  君が誘惑したんだ……。  だが「ダメだ頭を冷やせ」という気持ちが、それを阻止した。 彼女をもっと大切にしたい……そう思いとどまる。  まだ彼女には、これ以上の事をしてはいけない。  そう、まだ教師と生徒だから。忘れてしまう所だった。  と言っても、教師と生徒だなんて、こんな関係になった以上今更かもしれないが……。
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