*…朧…* #3

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 少しでも近くにいたい。そう思うのは普通の事だろう。 「後ろでラブラブすんなよ」  と不満そうにいう相沢に。 「さぁな」  とシンは答えていた。  そして車はしばらく走り、優をひろう、優は亜紀がいることにビックリしていたが「ラブラブだね」とボソッと呟いていた。  行く先は相沢次第、何処に向かうんだろうと考えながら、隣りの亜紀や、優、相沢を見る。  シンの胸にはなんだか温かいものが溢れていた。この空間が好きだと思った。  と、いきなり鳴り出した携帯。シンは自分の携帯だと開いた、すると何故か『安藤 あずさ』からの着信。  もう決着はついたはずなのに、何故着信がきたのか……。  すぐに携帯を閉じ、隣りの亜紀の様子をちらっと確認した。  電話に出ない事を変に思うだろう……着信を無視しているからか、亜紀がこちらをみた。こういう時、やけに着信音が五月蝿く感じる。  まさかここで出るわけにもいかず、気にするなと亜紀に優しく微笑む。  数秒後静かになった携帯。取らなかった理由は簡単だ。やましい事はないが、安藤からの電話だと知ったら、亜紀がまた変な事を考えるかもしれないと思ったからだ。 「なんで、電話とらないんだ?」  いきなりの相沢の質問に、 「あぁ、たいした事じゃないから。別にいい」  と軽く返すと。 「本当は、浮気だったりしてぇ~」  と言われ、 「あっちの、校長だから別に取らなくていいんだよ」  そう嘘をついた。
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