*…朧…* #3

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「先生……ごめんね」 「だから、謝るなって」  頭をポンポンと叩く。 「亜紀はあったかいな……こうしていると、落ち着くよ」  亜紀を抱き締めたまま……空を見上げ。 「少しずつでいいから、俺の事信じてくれ。 それから、自分に自信を持て。 亜紀は俺をここまで好きにさせたんだから、自信を持て」  と思わず抱きしめる腕に力が入る。このまま体が溶けてしまって、二人とも混ざってしまえばきっと、全てを伝えられるのに。  君が俺になればいい。  そして俺が君に。  そんな事が出来たら、きっと彼女は、 「せんせぇ……」 「もう、暗い話しは終わりな! これからの明るい話しをしよう」  体が溶けてしまうなんてあり得ないから、そんな非現実的な考えは頭から消してしまおう。  ロマンチックに語る事なんて出来ないし、その考え事態が幼稚な考えなのかもしれない。  彼女にそれを言って、何が変わるかもわからない。  将来の事を話した方が、ずっと現実味があり、彼女の心に響くだろう。  卒業したらやりたいこと、平凡な話しでも良い。いつも話すような内容だって。 「あっもし同棲するんだったら、相沢には家教えたくないな」  同棲なんて夢の夢。 「あいつ、毎日でもきそうだから」  君と青い空の下を手を繋いで歩く事が出来ない今は……君といるだけで、夢を見ているんじゃないかと、ふと思うんだ。
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