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「先生……ごめんね」
「だから、謝るなって」
頭をポンポンと叩く。
「亜紀はあったかいな……こうしていると、落ち着くよ」
亜紀を抱き締めたまま……空を見上げ。
「少しずつでいいから、俺の事信じてくれ。
それから、自分に自信を持て。
亜紀は俺をここまで好きにさせたんだから、自信を持て」
と思わず抱きしめる腕に力が入る。このまま体が溶けてしまって、二人とも混ざってしまえばきっと、全てを伝えられるのに。
君が俺になればいい。
そして俺が君に。
そんな事が出来たら、きっと彼女は、
「せんせぇ……」
「もう、暗い話しは終わりな! これからの明るい話しをしよう」
体が溶けてしまうなんてあり得ないから、そんな非現実的な考えは頭から消してしまおう。
ロマンチックに語る事なんて出来ないし、その考え事態が幼稚な考えなのかもしれない。
彼女にそれを言って、何が変わるかもわからない。
将来の事を話した方が、ずっと現実味があり、彼女の心に響くだろう。
卒業したらやりたいこと、平凡な話しでも良い。いつも話すような内容だって。
「あっもし同棲するんだったら、相沢には家教えたくないな」
同棲なんて夢の夢。
「あいつ、毎日でもきそうだから」
君と青い空の下を手を繋いで歩く事が出来ない今は……君といるだけで、夢を見ているんじゃないかと、ふと思うんだ。
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