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授業が終わり、金魚のフンかのように優の後をついて職員室に戻る。
双子というだけあってか目立つし、廊下を歩くだけでも注目の的だ。生徒に囲まれては、お喋りをし上手く切り抜けるのは大変だった。
職員室について一息つく、優の淹れてくれたコーヒーを飲みながら、携帯を見てみるとメール受信の文字。
メールを開くと、亜紀からじゃない事がわかり、少しがっかりした。
「ぷっ……」
そんな姿を見ていたのか、優がふきだして笑っている。
「なんだよ」
「くくっだって、今とてもガッカリした顔してたし。思ってた人からのメールじゃなかったんでしょ?」
と言い終えるとケラケラ笑い出した。
「うっさいなぁ」
「シンって分かりやすすぎ」
「笑うな」
『先生、昼休みちょっと時間をくれないですか? 体育館裏で待ってます。絶対にきてください、来てくれるまで待ってます』
メールを返そうとしたが、優に怒られ携帯を没収されてしまった。
「メール、電話禁止」
「お前な、子供じゃあるまいし返せよ」
「俺はシンのためにしてるんだよ。これぞ兄弟愛? 嬉しいでしょ?」
思わず顔がひきつる。
「お前……相沢に似てきたな……」
「仕方ないでしょ、相沢いっつもナメクジみたいにはりついてくんだもん。どんどん自分がおかされていってる気がする」
「ははっ……」
二人苦笑いになる。すると、
「細川ぁ~優ぅ~」
授業から相沢が戻ってきた。
「ほらね」
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