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「二人して俺が戻ってくるの待ってたの? あぁ~俺感激」
目をウルウルさせる相沢に、
「妄想激しい」
優が突っ込みを入れる。
「優くん冷たぁ~い、いつもは俺にベッタリのくせにお兄ちゃんがいるからって大人ぶっちゃって」
「消えて……」
優の冷たい言葉にもめげずに相沢は、一人ペラペラ喋っている。そんな二人の姿を見て、シンはなんだか笑ってしまった。
――3時限目。
心臓がいつも以上にざわつく。優の背中を追いかけて入った教室には、彼女がいた。
優の好意なんだろう、この時間はシンが授業をする事になった。
教卓に立つと、視界の片隅に入る亜紀の姿。こっちを見ている事が分かった。
真奈美は真正面の一番後ろの席にいて、ピースサインをしている。
「じゃあ、今日は優先生に変わって、先生が授業をします」
教科書を進めていく、黒板に書き説明しながらも亜紀の視線が気になった。
さっきからずっと見られているような感覚。なんだか緊張する。
プリントを配り、ちゃんと理解しているのか問題を解かせる、一人一人の机を周りながら、間違えているところは教えていた。
そして徐々に近づく亜紀の席。
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