*…涙の訳…*

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 教室に行くと昼休み中の生徒に、忘れ物をしたことをつつかれた。  物忘れが最近ひどいんだよなぁなんて話すと、みんな爆笑だ。教室を見回したが、亜紀の姿はまだなかった。 「じゃあな」  そう教室から出て廊下を進む、沖縄の生徒は視聴覚室で昼食をとっているだろうと視聴覚室に向かおうと足を進めると、前から亜紀が歩いてくるのが見えた、隣には工藤の姿。  だが、様子が可笑しい、下を向き歩いている亜紀はシンに気づいていなく、元気のない様子で、泣いた後の様に見えた。  シンに気付く事なくすれ違う。  彼女に一体何があったのか、声をかけられなかった。振り返る事も出来ず、視聴覚室へ。  視聴覚室に着いて皆で少しの間話したが、頭になんか入っていなかった。  一体何があったのか、未だにメールもない。 「ちょっとトイレ行ってくる」  そう生徒たちに言い、シンはトイレへと向かう。途中冷水機で水を飲み、顔を洗うためトイレへ。  亜紀のあの様子は、体調が悪いとかではなく、何か悩んでいるように感じた。  もしかしたら、昨日安藤が告白してきたと聞いたのを引きずってるのかもしれない。  電話をしてみたが、とらず。3回トライしてみたがメールをする事にした。 『本当に大丈夫か? 何か悩んでるのか』  と、思わずため息がでる。亜紀から何も返ってこないため、何が原因なのか状況がどうなのか、全くわからなかった。
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