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メールがひとつでもきたら……。
バシャッバシャッ顔を洗う。鏡に映る自分の顔がなんだか疲れているように見えた。
「ふぅ……」
ハンカチで顔を拭き、深呼吸をして視聴覚室へ戻ることにした。
トイレから廊下へと出たその時だ、亜紀がこちらに向かってくるのが見えた、下を向き、早足で。
「木下!?」
思わずすれ違いざまに手首を掴んでいた。確実に様子がおかしい。
顔をあげた亜紀は、今にも泣いてしまいそうで、何が原因なのか聞こうとしたが、手を振りはらわれ、亜紀がトイレへ駆け込んだため何も聞けなかった。
振りはらわれた手がジンとする、シンは手を少し見つめた後、何もなかったかのように歩きだした。
一体彼女に何があった……。
何故、メールも電話もない?
そしてあの態度、どうすればいいか分からず、そのまま視聴覚室へは戻れずに、屋上へと上がった。
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