*…寒い冬…* #2

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 本人から言わない限り聞くのもどうかと思い、観察は続く。  大将が他の客の所にいくと黙る桜井に、なんて言っていいのかも分からずにただビールを飲んだ。 「はぁ……」  ため息、桜井がため息をつくのは珍しい。ここはやはり聞くべきなのか。  ビールを一気に飲み干した桜井は、おかわりを注文した。 「細川もいっぱいのめよ」 「おう」  すると珍しく真奈美が一階に降りてきた。シンと桜井に気づき、 「あっ来てたんですねぇ~」  と冷蔵庫を物色しながら、言ってくる。 「来ちゃ悪いか」  そう聞く桜井に、 「別に」  と冷たく返す。やはり喧嘩をしているのだろうか。  冷蔵庫からジュースを2本取り出した真奈美は「ごゆっくり」と言い残すと2階に上がってしまった。 「っち。あいつムカつく」  そう呟いた桜井は、またビールを一気に飲み干した。 「大丈夫かよ。飲み過ぎじゃないか?」 「大丈夫、これくらい」  だが、桜井は全然大丈夫ではなかった。30分後にはベロベロの状態で、カウンターにもたれウトウトしていた。 「じゃあまたな」  二階から声が聞こえてきたと思ったら、真奈美と仲の良い和輝だった。カウンターでウトウトしている桜井を見ると静かに後ろを通り、 「細川先生、さようなら」  と小声で呟き、帰っていった。まるで桜井を避けているかのように。原因はこれかっとシンはなんとなく勘づく。
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