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知優の姿に驚きをみせた母親だったが、
「まあ、いらっしゃいませ。小さなうちですけどお上がり下さい」
明らかに新品のスリッパを差しだし、知優と蘭を中へと招き入れた。
案内された部屋は純和風な客間。
床の間には庭で咲いたであろう華が活けて有り、大きなテーブルの周りには陽の匂いがしそうな、ふっくらした座布団が置いてあった。
「お茶の準備をしてくるわね」そう言った母親。手伝おうと蘭が腰をあげるも、「大丈夫よ」と促され、勧められるがまま二人仲良く並んで座った。
手持無沙汰になった蘭は隣に座る知優を見た。
知優は穏やかな笑みを浮かべ、蘭に向かっていった。
「優しそうなお母さんだな」
そんな知優の感想に蘭は、ただただ嬉しく感じた。
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