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しばらくすると、蘭の母親がお茶を持って客間に戻ってきた。
その後ろから、父親と祖父母の姿も。
全員が座った頃合いをみて、知優は座布団から降り蘭の両親に挨拶を始めた。
「佐久山 知優と申します。この度は突然の訪問を快く受け入れて頂きありがとうございます」
知優は額が畳にくっついてしまうんではないかと深々と頭を下げた。
蘭も慌てて、知優と共に頭を下げる。
「ほら、頭を上げてください。そんなに畏まらなくって良いんだから・・」
母親の声に頭を上る。
父親以外、みな『微笑ましい』といった感じに若い二人をみていた。
父親はこれから宣告されるであろう言葉を想像し、仏頂面である。
「蘭さんと交際をさせて頂いております。今日は結婚のお許しを頂くために挨拶にお伺いさせて頂きました」
知優は、清々し過ぎる笑顔を蘭の両親と祖父母に向けた。
その笑顔をみた、母親と祖母は「はい、こんなんで良ければどうぞ」とにこやかに言ってのけた。
それには、父親と祖父、そして蘭が驚いた。
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