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「おいおい、自分の娘を『こんなの』って・・・」
父親は若干引きつった顔で母親と祖母をみた。
母親と祖母は知優の姿勢と、その見た目にノックアウトされ・・・・。
『ああ、おとしたんだ・・・』蘭は知優の普段は見せないイケメンスマイルをそんな風に思った。
その後は、母親と祖母のお陰でスムーズに話が進み、婚姻届の保証人欄に父親のサインを貰った。
祖父母自慢の自家製野菜をメインとしたランチを頂き、知優は終始満面の笑みを浮かべている。
そんな姿をみた蘭は、知優が無償の愛に飢えていた事を強く感じた。
知優は自分を多く語らない。
そんな中でも時折見せる寂しそうな顔。
『御曹司』
周りは彼をそう呼ぶ。
何不自由なく、そして幸せに満ち溢れ・・・・そんな幻想を抱いていた。
でも、知優は違う。
生意気で、でも寂しがり屋で・・・。
蘭は知優の何を知っているのかすらわからない。
でも、知優自身は信じられる。
そう、思った。
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