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ホームルームが終わると同時に前の席の友に声を掛けた。
「ねぇ、安芸はどこでバイト探したの?」
栗色に染めたミディアムボブを揺らしながら振り向く安芸(あき)。髪はいつもキレイに手入れをされていて同姓の私でも触りたくなる。
私の問いに安芸は少し笑いながら、
「美有さん、バイトすんの?どーしたの急に」
私は今までバイトをした事がない。
学校で禁止されてる訳じゃないけど。
「うん。バイトでもしょうかなぁ」
「美有さんはバイト初心者だしなぁ。あ、モバサイト教えるよ」
そういう間もなく安芸からメールが送られてきた。
アルバイト専用サイト、すぐにURLにアクセスし、私はその場で必要事項を埋めていった。
そのサイトは希望にあったバイトをメールで紹介してくれるらしい。
安芸の視線を感じながら登録を完了させた。
「でも明日から夏休みだよ。せっかくの休みなのにバイトするの?」
苦笑い気味の安芸が言う事はもっともだ。
この夏休みを過ぎれば受験の準備が始まる。
でもこの休みは一人で居たくなかった。
だからバイトを始める事を選んだ。
どうせ家にいても、友達の中にいても、居心地悪いだけだったし。
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