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「ごめんなさいね。お客様の事は詮索しないようにと言ってあるのに。嫌な思いをさせてしまって」
シゲノさんが私なんかに頭を下げてくれた。
慌てる私をシゲノさんは優しく見つめ、ベットから降りるのを手伝ってくれた。
洋服に着替え、明るい部屋に通された。
色々な化粧品が並んだ机の前に座らされ次々に化粧された。
私だってマスカラやシャドウくらいは付けていたけど、下地やファンデーションや初めてかも知れない。
わざわざ説明しながら化粧をしてくれた。
出来上がった私を見たシゲノさんは満足そう。
自分の年より、二つ三つ上にみえる。
今まで洋服に着られていたような感じだったけど、今はしっくりきていた。
鏡越しに知ってる瞳があった。
「ま、いいかな?ありがとう」
「何、その言い方は!素直にキレイだって言ってあげなさい」
YOUさんの言い方に呆れたようにシゲノさんが言い放った。
YOUさんはサングラスをかけ、うつむきながら『そうだな。』と呟いた。
YOUさんに手を引かれ部屋をでた。
私はシゲノさんを探し足を止めた。
引っ張られる手を自分に戻し。
「ありがとうございました」
それだけ言うとYOUさんの後を追い掛けた。
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