身支度  ~美有~

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私をみるなり、くまなく全身をチェックされた。  「ま、いいかぁ」 その言葉に『カチン』ときた。  でも、恥ずかしい思いの方が大きい。 私は自分の『センス』に自信なんかない。 今だって、『とりあえず』私が着てもおかしくない様な服を選んだ。 「これからだな。そう怒んなって。とりあえず飯だな」 凹む私を気にも留めず、玄関に向かい歩きだした。 またしても私は後を追いかける。  玄関を出て驚いた。  事務所の隣から出てきたから。  「ああ、事務所は隣な」 何で私の考えが分かるのか?  そのせいか、私はついYOUさんに気を許してしまうんだろうな。  車で目的地に向かう。  向かう途中YOUさんは色々、私に質問してきた。  アレルギーはあるのか?とか自宅に動物はいるのか?とか。たわいもない質問。  アレルギーもないし、動物もいない。観葉植物さえいない自宅だもん。  こ洒落たカフェに着いた。まだ昼前だけどYOUさんと同じランチプレートを頼んだ。  席が窓際だったからかYOUさんは濃い色のサングラスをかけた。  かけない方がカッコいいのに。  会話もなく、黙々と食べた。  満腹になったら眠くなった。  「寝るなよ。これから仕事だから」 タバコをふかしながら、イタズラ顔でYOUさんは言った。
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