バカンス5  ~美有~

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「あの曲は発売しない」 YOUはタバコに手を伸ばした。  火をつける。  『ふぅ~』 煙が登る。  「なんで?イイ曲じゃん。」 YOUから出た煙が気になる。  仕方ない。と言う感じでYOUが口を開き始めた。 「元々、発表する曲じゃなかったんだよ。でも仕方なく一度キリ。って事で。だから発売しないし、もう演奏もしない。オレも歌わない。」 YOUの表情には、色々な感情がみえた。  「何で一度キリなの?」 聞きたくって、YOUが怒るかもしれないけど、私は続けた。  「人にあげた曲だから、もうオレの曲じゃない。」 YOUは真っ直ぐ私の目をみながら続けた。  「あの曲は美有にあげたでしょ。だから『Muse』は美有のものだから」 私のもの?  意味が分からない。  私を見てYOUが笑う。  「美有に贈るってあったでしょ。オレは美有にあげたんだよ。 だから発売はしないし、美有だけの曲なんだよ。あの曲が書けたのは美有がいたから。だから美有の曲なんだ。」  はにかみ笑顔に、私は飛び付いた。  YOUの耳に口をつけ、  「ありがとう」  そう呟くのが、やっとだった。
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