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海に入りたい気持ちは山々だけど、そんな時間はなかった。
さっきアラタを始めメンバーに説得された。
今までだったら、絶対に反対していただろうけど、美有の姿をみた今は、心が揺れてしまった。
サチに自分で美有に言うといわれたが、オレから伝えると、言ってしまった。
オレが美有に贈った曲を今さら発売するとは………言えない。
美有が急に近寄ってきた。
オレの顔を手で挟み唇をあわせてきた。
その瞳には温かい色がみえる。
「いつ発売になるの?」
首を傾げ、でも笑顔だった。
「あ、『Record』は10月発売だよ」
美有は笑って、
「違うチガウ、『Muse』だよ。発売する事にしたんでしょ。良かった。私、あの曲大好きだから」
ニコニコ笑う美有を抱きしめた。
「ありがと…………」
何とか伝えられた。
美有はオレを見返し、
「私こそ、ありがとう。私の為に書いてくれた曲。私ダイスキ。ホントはYOUの気持ちを独り占めしたいけど。でも皆に聞いてもらいたい。羨ましがられたいかな。」
クスクス笑いながら言う美有はいつになく可愛いかった。
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