卒業 ~美有~ #2

3/6
前へ
/40ページ
次へ
私の手の中にあったデジカメで安芸が写真を撮ってくれた。  『楠木くん』とは、これが最初で最後の写真になった。  卒パーまでまだ時間がある。  YOUは私に、『後で。』と言って教室を出た。  私は安芸と一緒に卒パーの会場、体育館へ向かった。  会場の飾りつけは在校生がしてくれていた。  実行委員が機材のセッティングをするなか、謝恩係の私達はテーブルに飲み物や食べ物を並べる。  暗幕が窓をふさぎ、電気が消さた。  ライトが間接照明の役割をし、ミラーボールが回る。  食べ物や飲み物のトコにはブラックライトがおかれ、不気味にてらす。  時間になり、卒業生が体育館に集まってきた。  回るライト。 爆音の音楽。 安芸は私をみるなり、  「YOUはどこ?!」 音響に負けないくらいの声で私に聞いた。  その声に驚きき、聞かれていないか周りをみた。 誰も気にしていなかった。  みんなが踊ったり話したり楽しむ中、私はYOUを探していた。 
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

200人が本棚に入れています
本棚に追加