103人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「貴方、健太もおはよう。」
「おはよう。」
寝室のドアの隙間から、彼女がそっと顔を出す。背後から漂うのは、彼女お手製の野菜スープの香りだ。
そういえばやたらと腹が減ってるな。早く彼女のスープを食べなくちゃ。
でもその前に、プレゼントどうしよう。
僕はもそもそとベッドから抜け出した。
「ママぁ、僕にサンタさん来なかったぁ!」
「ああ、泣かないの。」
彼女が優しく健太を抱き寄せる。
うーん、困ったな。
今さらどうやってサンタからのプレゼントを渡せばいいんだ?
僕が必死で送るサインにも、彼女はちっとも反応しない。
全く!
変な所で鈍感なんだよね、君は。
「健太、いらっしゃい。
サンタさんはちゃんと来てくれたみたいよ。」
「本当?」
「ええ。貴方も一緒に来て。」
「え?ああ…」
…君は一体どんな魔法を使うつもりだい?
彼女が健太の手を引いて、リビングへのドアをそっと開けた。
最初のコメントを投稿しよう!