23人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな風に、母が喜ぶ顔が見たくて、なんだかずっとその期待に応えようとしていた事が、気が付けば深いトラウマや深い洗脳や深い呪縛を生んでしまったのでしょう。
母は悪くないし、私も悪くない。
母は、私が喜んでやっているのだと、きっと思っていたと思います。小さな頃から、お稽古通いが多かったのですが、実際それを苦痛だと思ってやっていた事はなく、至極当然だと思って、ピアノ、習字、公文、スイミングと、毎日のように、お稽古事に通っていました。何の不満も抱いてはいなかったけど、お稽古そのものが好きというよりは、「親に褒められたい。」という気持ちが大きな動機になって、お稽古をしていたように思います。
私の場合は、「親を喜ばせたい。」ということばかりに自分の気持ちが注力していって、実際自分は何が好きなのか、何になりたいのかが、わからないまま成人を迎えてしまったように思います。
当時は、キャビンアテンダントになる事を夢見ていたのですが、今思えば、その夢の発端も、親でした。小さな頃、なんとなく建築の図面を見ることが好きで、家の広告を一生懸命集めていたりしていたのですが、ある時、親戚を含めて旅行に行った時、「スチュワーデスになればいいじゃん。」みたいな話が、車内で盛り上がり、親戚のみんなもそれに両親も、なんだかそうなる事を喜んでいる。その顔が嬉しくて、「じゃぁ、私、スチュワーデスになる。」と、十二歳のある日に決め、それから約八年の月日は、スチュワーデスになる為に注がれました。
最初のコメントを投稿しよう!