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294号線から右折し、背炙り山の峠道を走る。
相変わらず、車内は沈黙が続き、カーステレオからは、『糸』が流れ始めた。
一緒にいる時、「この曲、いいね。」と、わたしが言った曲。
彼は、いつの間にか、この曲をダウンロードしていたのだ。
まるで、わたし達の様な曲。
「この曲さ、最近、よく聴くんだよね。」
沈黙を破り、ヨシが、口を開く。
「歌詞なんかも読んじゃってさ。…サヨを思い出してた。」
そう言って、わたしの方を見る。
「そう、なんだ。」
わたしは、その一言だけしか、答えることが出来なかった。
「俺達、みたいだろ?」
確かに、あの時は、そう思ってた。
だけど、今は…。
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