新たなる出発

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平日のこの時間に、ここにいる人なんて、誰もいなかった。 秋の終わりの寒々とした景色が広がっている。 きっと、秋は見事だったんだろうな、と思わせる枯葉が、沢山、落ちて広がっている此処。 歩く度に、カサカサと、寂しげな音を立てる。 そんな中、わたし達は、行き場を求めて流離(さすら)う。 手を繋ぐことも。 並んで歩くことも、せず。 彼の後ろを、一歩下がって歩く。 並んだ白い風車達が、規則的に、回っている。 カタカタ、カタカタ。 カタカタ、カタカタ。 二人の空間に流れる音楽。 とても、寂しい風の音を奏でている。 終わりを偲ぶかの様な、秋の暮れ。
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