新たなる出発

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しばらく歩くと、芝生の中に、ぽつんと、東小屋が立っていた。 「あそこで、話そうか?」 後ろを振り向き、彼が言う。 「うん。」 目を合わせる事無く、わたしが答える。 ―――ヨシは、どうしたいのだろうか? 彼の後を追いながら、そんな事を考える。 ―――わたしと、戻りたいのだろうか? びゅんっと、二人の間に木枯らしが吹く。 ―――それとも、自分の状況を伝えたいだけなのだろうか? 枯葉達は舞い、風に乗って、別な場所へと連れ去られる。 命の輝きを失ったものは、もう、抗(あらが)う力など無い。 自然という、大きな流れに、身を任せるしかないのだ。 朽ち始めた東小屋に着く。 ヨシが座り、対面する形で、わたしが座る。 恋人同士だった頃は、きっと、隣に座っていただろう、けれど。 これが、わたし達の、今の距離。
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