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沈黙は、続く。
何を話すべきなのか、何を聞くべきなのか。
わたしから話を始めるべきなのか、彼からの話を待つべきなのか。
どうすれば一番いいのか、分からなかった。
秋風が吹き込む東小屋で、椅子に座ったまま、俯(うつむ)いているわたし。
ヨシが、どんな表情なのかすら、分からぬまま、時が過ぎる。
一分なのか、十分なのか。
まるで、時から取り残された様な空間。
腰からじんわり、冷えてくる。
あの旦那に告げた時と同じ様に。
…いや、もう、今では、元旦那になってしまった、あの人。
あの人の、悲しい表情(かお)が、頭に浮かぶ。
手足の感覚が無くなる。
身体の芯まで、冷気が侵蝕してくる。
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