新たなる出発

16/30
前へ
/844ページ
次へ
「寒い?」 沈黙を破ったのは、彼。 「…すこ…し、ね。」 口の中は、乾いていた。だから、上手く、言葉が発せなかった。 「大丈夫?」 「…うん。」 きっと、付き合っていた時だったら、彼が、わたしを包んだだろう。 でも、今、こうして離れて座っているから、彼は、そんな行動を起こさなかった。 「離婚届け…受理されたの?」 きっと、彼が一番聞きたかった事、だろう。 「うん。」 それに対して、二言だけで答える。 「そっか。一足先に、独身か。」 それに対しては、何も答えない。 「俺も、すぐ、離婚して、独身になるから。 そうしたら、また、俺と付き合ってくれ。」
/844ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2600人が本棚に入れています
本棚に追加