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ヨシの口から、想像もしなかった言葉が流れ出す。
―――え?わたしは、てっきり、奥さんから…。
心の中の問いは、口にすることなく、黙って、彼の話を聞く。
「勿論、慰謝料も、養育費も払うつもりで、言った。揉める事も覚悟で、話をしたんだ。
そうしたら、あいつ、二つ返事で了解したよ。
そして、予め書いておいた離婚届を出してきた。
まるで、この時を待っていたかのように、な。」
―――奥さんは、離婚したかったんだ。
「そして、『実は、このお腹の子は、あなたの子じゃないの。』と、言い出し始めた。
『ずっと、あの人と付き合ってたのよ。』って。」
―――奥さんは、真実を告白したんだ。
「『あなたなんて、もう、好きでも嫌いでもなんでもない。
だから、あなたの子供の面倒なんてみたくもないから、置いていくからね。』
…って、あいつ、そう言ったんだ。」
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