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「おはよ、由紀」 目覚めは。 想って泣いた、愛しい人のどアップ。 「……夢、かな」 それとも、やっぱり。 煙突のある家には、サンタクロースが来るとか。 「はは」 「何、寝ぼけてんの?」 ――ッ! 髪を撫でられた感触が、あまりにもリアル。 「……圭輔!」 飛び起きた。 バランスを崩した圭輔が、ベッドとベッドの隙間に尻もちをつく。 「ってぇ」 「あ、ごめん」 顔を見合わせて。 頭ん中は、疑問だらけで。 でも。 「……ぷっ」 「ふっ」 笑ったのは、2人同時。 夢じゃない。 圭輔だ。 ――本物の、圭輔だ。 「……けいすけえええぇー」 両腕を真っ直ぐに伸ばして、ダイブ。 昨日あれだけ泣いたのに奇跡的に残っていた水分が、ほろほろとこぼれ出して―― ――『圭輔は、こういう時、どうしてくれるの?』―― 「何泣いちゃってんの、バーカ」 ギュってして、チュッてして、ペロリ。 「しょっぱ」 「やだあ。ばかー」 圭輔はこういう時、舐めるんです、店長。
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