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「なんでここにいるの?」
ぎゅっと抱きついたまま、疑問だらけの頭の中から拾い上げた最初の質問は
「その前に聞きたいんだけど、いい?」
ごつん、とおでこをぶつけてきた圭輔に遮られる。
「うん、何?」
「昨日、この部屋にもう1人いたよな」
「……!」
いた。
いました。
てか、どこ行っちゃったの? 店長。
いやそんなことより。
今私、疑われてる?
「こっちのベッド、使った形跡ないんだけど」
「……ああああ……ッ」
圭輔が指す、もう片方のベッドには一切の乱れがない。
当然だ、私が泣き疲れて眠るまで、店長はずっと私の隣で宥めていてくれたのだから。
でも言い訳のしようがない、疑われても仕方ないこの状況で。
――あの人を一瞬でも圭輔の代わりにしようとした事実は、完全に私の罪だ。
「ごめんなさい……!」
真っ先に飛び出した謝罪を、どう捉えたのか。
圭輔の顔が、歪む。
「――謝らなきゃいけないようなこと、したのかよ」
怖い顔。
怒らせた。
せっかく、会えたのに!
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