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「圭輔じゃなきゃやだ。圭輔じゃなきゃ駄目なの」 彼の頭に手を伸ばして、そっと撫でる。 撫でる。 撫でる。 「ごめんなさい、やっぱり怒っていいから」 何度も、なんども撫でながら 「傷つかないで」 それだけを、願った。 「由紀……」 まわされた腕が緩んで、離れていく身体が淋しくて 「やだあ」 それが拒絶じゃないことを祈って、縋った。 「由紀、由紀聞いて」 押し戻されて、また暴れようとすると両腕をぎゅっと掴まれる。 そこでやっと、視線が絡んだ。 「俺もお前がいい。お前じゃなきゃやだ。俺お前のこと信じるから――、だから。……お前も信じて」 胸がきゅっと痛くて、声が出なくなって。 ただコクコクと、何度も、頷いた。 「会いたかった」 また、抱きしめられて。 たくさんたくさん、キスが降ってきた。 圭輔のキスは魔法のキスだ。 熱いお風呂でも店長の優しさでも溶けなかった心が、溶けていく。 溶けて溶けて、素直になれる。 「私も」 伸ばした両手を、彼の顔に触れて。 「ホントはずっと会いたかったんだよ、圭輔」 大好きなあなたに、私からも、魔法のキスを。 ――I hope you WILL have a Merry Chiristmas. - -Yuki - -
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