第1話

2/2
前へ
/2ページ
次へ
 細い道を通り抜けると、静かな隠れ家のような甘味処があった。甘味処には、毎日いろんなお客さまが来る。  今日も何やら事情がありそうな、20歳の女性が2人来店した。  全体的にスラッとした印象のある黄色いワンピースを着た、おだんごヘアの女性。もう1人はパーカーにジーパン、ポニーテールとカッコイイ方だが、何処かで見たことある気がしている。  お越しいただいたお客さまの顔は覚えている方なのだけれど、そろそろ歳かしら?  ポニーテールの女性は泣いていたのだろうか?目は真っ赤に腫れ上がり、涙のあとがしっかり残っていた。  席へ案内すると、すぐメニューを見ずに 「ヨーグルトパフェ2つ下さい」  とおだんごヘアの女性が注文した。  ヨーグルトパフェは、この甘味処で1番人気の商品。  パフェ用の少し大きなグラスにヨーグルト味のアイスとシャーベットが入っており、途中には味に飽きないようにストロベリーソースが隠されている。1番上には生クリームが絞ってあり、イチゴやブルーベリーなどが飾り付けられていてる。  甘ずっぱいヨーグルトアイスとストロベリーソースは相性抜群。そしてシャーベットは夏を乗り切れるほどシャリシャリしており生クリームと合わせて食べると、アイスとは違ったまったり感が楽しめるなどで女性を中心に人気である。  ヨーグルトパフェを持っていくと、ポニーテールの女性は目に涙を溜めた。泣くのを堪えているように見えた。 「さ、食べよ?」  とおだんごヘアの女性が言うと、目をゴシゴシと拭きうなづいていた。  とても目が痛々しいポニーテールの女性に温かいおしぼりを渡した。 「少しの間、目に当てておくといいですよ」 「あ、ありがとうございます......」  彼女は目におしぼりを当てると、こう話してきた。 「あの、ありがとうございます。このお店は弟と弟の彼女さんが気に入っていたお店でした。2、3週間に1回は来ていたらしくて、ここのヨーグルトパフェは美味しいと嬉しそうに話していたんです」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加