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「どうしても中村さんと…」
「したかった?」
「ち、違います。」
顔を真っ赤にして巧が弁明する。
「やったじゃん。達也のふりして。」
「…それは…」
巧は俯いてしまう。
オイオイ…
凹みたいのは私だよ。
客商売で人を見る目はあるつもりだったのに、同一人物を別人だと思うなんて。
対した役者だよ。
「騙されてる私を見て楽しかった?」
「そんなことありません!」
「うわー弟さんとか言ってるし…みたいに?」
「言おうと思ったんです…正直に…でも、嫌われるんじゃないかと思うと勇気が出なくて…。」
「なら、達也で迫ろうって?」
「…はい。それなら…好きになってくれるかと。」
「馬鹿じゃないの?」
自分に自信が無くて、強い男を演じて、それで惚れられてどうするっていうのよ。
付き合うことにでもなったら、ずーっと演じてるつもりだったの?
ぶつかるなら本当の自分でぶつかって来いっていうの!
「さよなら。」
私は、そう言い捨てて席を立った。
「ま、待ってください!!好きなんです!!」
「知らん。」
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