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すがりつくように言ってくる巧を一刀両断で切り捨てると私は玄関へと向かった。
「僕なんかにあんなに親切にしてくれて、達也の時の僕より、本当の僕を心配してくれる貴方が好きになったんです。」
後を追いかけてきて巧は言い募る。
「で、達也で迫ってたら意味無いだろ。」
私は振り返り巧の眼を見て言う。
巧は目を見開き、足を止めた。
「さよなら」
そう一言だけ言い、私は家を出た。
最悪の気分だ。
告白されたのにちっとも嬉しくない。
巧の演じていた達也…
私を抱いた達也は、巧が演じていて…
何をどう感じたらいいのか、私は訳がわからなくて…
何処へぶつけたらいいかわからない、やりきれない怒りに涙がこみ上げてきた。
家へ帰ろう…早く家に…
って…ここ…どこだ?
昨日タクシーで来たんだった!!
駅、駅は何処なの!?
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