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電話が再び着信を告げる。
同じ番号。
巧からだ。
ふうん、今みたいな切られ方してもかけてくるだけの根性はある訳だ。
…巧にも。
私は、怒鳴りつけてやろうと通話ボタンを押した。
「もしもし」
『本当にすいませぇん。勝手に見ちゃ悪いと思ってたんですが、どうしてもぉ…』
電話口から聞こえてきたのは、今にも泣き出しそうな情けない声で勢いよく謝る声だった。
全然根性無いじゃん!
私は、思わず吹き出してしまった。
駄目だ…
負けた…
このキャラには勝てない。
電話口で爆笑する私に電話の向こうから不思議そうな声が返ってくる。
『あ…あのぉ…美香さん?』
私の笑いはまだ尾を引いてやみそうにない。
だって…あの達也と同一人物がコレ?
『美香さん…何かしました?…僕…。』
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