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「いや…何も…クスクス」
笑いがやみそうに無い。
でも、何故かモヤモヤしていた気持ちが吹き飛んだ。
「で、用件は何なの?」
『あ、はい!!』
私の声音がきつくないのに気づいてか、巧の声が明るくなる。
『もう一度会っていただけませんか!?』
「無理。」
私は、通話終了ボタンを押した。
10秒も経っただろうか、再び電話が鳴り出す。
巧だ。
私は笑いをこらえながら、電話をとる。
「もしもし?」
『美香さぁん…お願いします…』
涙声だ。
巧の弱った様子が目に浮かんで、尚更、私は面白くなった。
変にハナにつく達也より、巧の方が何倍もからかいがいがあって、面白い。
本当にこの男があの達也と同一人物なのか?
『会って…もう一度…説明させてください……』
「いいわよ。ただし…」
私は、巧と達也のギャップに面白さを覚えていたのだった。
「巧とならね。」
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