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「実は?」
私は思わず強い調子で聞き返す。
「……仕事で、出かけちゃいました。」
溜めなくてもいいだろ…
そのくらい…
ガクっと力が抜ける。
「そうですか…。」
というか…達也…お前…
寝た女と弟だけ残して仕事に行くなよ。
どんだけ気まずいと思ってるんだ!起こせよ!!
心の中で文句を並べ立てたが、現状が変わるわけでもなく、私はさっさとこの場から去ってしまいたいのだが…服はどこだ?
気まずいのを我慢して私は巧に聞いた。
「あの…私、帰ろうと思うんですが、服がなくて、どこにあるかご存知ですか?」
「あ、それなら土がついて汚れていたので洗濯しました。あと10分くらいで乾燥機から出せます。」
「洗濯。えっ、全部ですか?」
「はい。」
巧はにっこりと微笑む。
「そ…そうですか…。」
思わず絶句してしまった。
た、確かに地面に倒れこんだから、袖のところが汚れてたりしたけど…
下着から全部洗濯しなくたって…。
……。
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