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「どういうこ…」
ピンポーン
凍りついた二人の間に玄関のチャイムの音が響いた。
ピンポーン
「…コーヒー貰うわ。出たら?」
「は…はい。」
巧とすれ違うように、私は再び食卓に向かって歩き出した。
後ろで扉の開く音がする。
「先生、こんにちは。原稿取りに伺いました。」
女性の声が聞こえてくる。
先生…
原稿…
巧の職業って…
私はキッチンから玄関のほうへ耳を澄ます。
「あ…実はまだ出来て無くて…。」
「そうですか、昨日の今日ですもんね。わかりました。昨日のお店は参考になりました?」
「はい。教えてくれて、ありがとうございました。」
「良かったです。では、原稿出来上がりましたら、すぐお電話下さい。」
「はい。」
「では、またお伺いします。」
扉の閉まる音がする。
巧がこちらに戻ってくる足音を聞きながら私は、食卓に出されていた二人分のコーヒーの前に腰を降ろした。
巧が、恐る恐る向かいに腰を降ろす。
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