記憶

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その反応を見て山田は面白そうに目を細めて笑う。 「いえいえ。人気作家の貴方に取材されるなんてこちらこそ、光栄です。」 艶やかに山田が微笑む。 どう見ても男性には見えなかった。 …そんな趣味の方だったなんて…。 「ボス、頼むから着替えて来い。」 「大友さんが密会してるって言うから、急いできたのにぃ。」 シナをつくって言う山田に大友はゲッという顔をした。 「やめろよ。気色悪い。」 「ハハハ。せっかく大友さんの彼女が見れるかと思ったのに、速水さんだったのね。」 「その姿で来て、俺がホントに女と会ってたら、お前どんな事吹き込むつもりだったんだ?」 「うふっ。もちろん私の大友さんに何か用?って言うつもりだったの。」 「オイオイ…まったく…。やってられないな。ボスここでそんな格好で仕事する気か、さっさと着替えて交代してやれ。」 「ええ。わかってるわよ。じゃあ、大友さんが気分悪くする前に私はお暇するわ。速水さん、これからも良い本を書いてくださいね。無茶はほどほどにね。」 最後の一言で大友さんからおおよその話は伝わっていたのだろうとわかった。 「…ええ。」 「それじゃあ、大友さんお疲れ様。飲み過ぎないようにね。」 手をヒラヒラと振って山田は去っていった。
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