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「ねぇ…今、私に出来ることは…待ってるだけかな…。」
私はポロっと口にしてしまった。
なんだか、もう、コイツの前では、ぽろぽろと素の自分が出てしまう気がする。
「うーん…そうだね。…で…連絡があったら、僕、車出すから、加村さんを迎えにいこ。」
横でアゴを押さえながら、それでも、私に微笑みかけながら巧が言った。
コイツ…
変人だけど…結構、いい奴だな…
「…わかった。……………ありがとう。」
改めて言うと恥かしくて、声が尻すぼみになってしまった。
「ん?何か言った?」
聞こえなかったのだろう…巧が聞き返してくる。
えっと…
えっと…感謝の気持ちはきちんと伝えなきゃ…
「いろいろ…ありがとう。感謝してます。」
「…み…美香さん…」
私が改まって言うと巧は面食らった顔をする。
「何よ。」
「…なんか、普通の女の人みたいですよ。」
「どういう意味よ。それ。」
一気に私の声が地面を這うように低くなったのに気づいて、巧は『しまった!』という顔をした。
「い、いや…そ、それは…あはは…」
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