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慌てる巧の様子を見ているとそれだけで可笑しくなって心が和んだ。
「………まあ、いいよ。」
不思議と心は落ち着いていた。
彩が心配なのは変わらないが…
今、私に出来ることは祈ることぐらいなのだから…
「…よかった。」
横で巧がつぶやく。
「…加村さんが見つかる前に…美香さんが壊れるかと思った。」
ふう…と横で息を吐く巧の姿に、どれだけ巧が私を心配していたのかが伝わってくる。
「…きっと…無事に帰ってきますよ。」
「……そうよね。きっと…。」
巧の言葉に私も頷く。
根拠などないが…
願いを込めて言葉にすることで、少しでも何かの足しになれば…
彩を大事に思う気持ちが伝わって、少しでも良いほうに運命を進ませることが出来るようにと…
お互いに希望を口にしながら、恐怖に耐える。
だが…現実は…そう優しくはなかった…。
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