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二人でソファに座り、ただ、連絡を待つ。
さめたコーヒーを飲みながら…。
沈黙の部屋に時計の音だけが響いた。
時間だけが過ぎていく。
時計の針は12を回ったけれど、まだ連絡は無かった。
「遅いですね。」
「…」
重い沈黙が二人を包む。
「…ねぇ、美香さん。加村さんとは付き合い長いんですか?」
「うん…高校時代から。」
「へぇ。美香さんの高校時代って…ヤン…」
「すっごく、真面目な優等生だったわよ。」
「…えー?」
「何よ、その疑問形は?彩も結構サバサバした性格でね。あの女性特有のねちっこい感じが駄目で、自然と二人でつるむようになったの。」
「そうなんだ。仲良し二人で上京したんですね。」
「まあ…彩の行きたい大学と私の大学が東京だったってだけ。」
彩は、人との距離を置きがちだった私の側にいつの間にかいて…。
曲がったことがキライで、でも優しくて。
「美香さん。加村さんは美香さんの事を『絶対、置いていかない』って言ってましたよね。」
「…彩は、母の事を知ってるから。その事を聞いてから、彩は、私に連絡を欠かしたことが無いの。ちょっとしたことでも音信不通なんてしない。別に私がそうしろって言ったわけでもないのに。…そういう気遣いをする子なの。」
「…いい方なんですね。」
「…うん。」
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