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沈黙を破るように、私の携帯がテーブルの上で鳴り出した。
私は慌てて手に取る。
ディスプレイに現れたのは…彩の母の名前だった。
彩ではなく…彩の母…
嫌な予感がした。
「…おばさん、美香です。」
『美香ちゃん…』
電話口でおばさんは泣いているようだった。
「おばさん!?ねぇ、どうしたの?」
『彩がね…事件に巻き込まれて…』
「それで!それでどうしたの!?」
『病院に来たんだけど…お医者様が…今夜がやまだって…』
目の前が真っ暗になった。
何故…
何故なの…
わずかな希望は、どん底へと落とされ私のなかを嵐が吹き荒れた。
呆然としていると、横で巧の携帯も着信を告げた。
「はい。」
巧が電話を取り、会話の邪魔にならないように離れた。
『美香ちゃん…』
「おばさん…病院はドコですか。すぐに行きます。絶対、大丈夫。彩は…彩はこんなところで…。彩は、絶対私たちを悲しませたりしない。」
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