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電話を切り…
しばらく、ぼう然としていた。
彩の母に『大丈夫』と言ったものの、その言葉を一番信じていないのが自分だった。
「美香さん!」
巧の慌てた声が横でして、手首を強くつかまれた。
バッグが投げつけるように渡された。
「行くよ!!」
腕を引っ張られ、玄関へ向かう。
「大友さんからも電話があった。状況は車で説明するから、早く病院へ向かおう。」
「……行きたくない。」
「美香さん!」
「…」
「美香さん!行くよ。」
巧に手をひっぱられ、私は走った。
目の前が涙で歪む。
駄目、信じるの…
彩は大丈夫。
絶対…いなくなったりしない。
お母さん…
お願い…彩を守って…。
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